深く夢を見ること。深い夢の中で目覚めること。

 深く夢を見ること。そして、夢の中で完全に目覚めること。

 この言葉どこで呼んだか忘れた(河合隼雄村上春樹か…?)が、創作のある一面に触れているなと思った。

 最近、最果タヒという人の『空が分裂する』という詩集を読んでいて、支離滅裂なんだけど、その支離滅裂な感じが、ある感覚に似ていると思った。

 ちょうど眠っているのと起きているのの間のなんとも言えない、夢かうつつか状態というのがある。その感覚に似ているなと。

 藝術というのは、いいものはどこかで言葉にできない感じというか「ああ、なんだろうこの感じは…」みたいのがある。

 ああいうのは、やっぱり、通常の意識とはちょっと違う世界に属していると思う。

 そういう違う世界のものを表現するには、その世界の中で醒めている必要があるのかなと。

 「夢の中で醒めている」というのも矛盾した話だが、最果タヒの詩を読んで、ちょっとそういうことも感じた。

 

空が分裂する (新潮文庫nex)

村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)