最近見た映画(2016.5~)
・黄金
・オールド・ボーイ(韓国版)
このなかでは、黄金が一番よかった。
古き良き時代のハリウッド映画とか、人間の身も蓋もないエゴをハンフリー・ボガートを通して描くんだけど、最後にはハートがあるというか。
小津安二郎はよくわからない監督だけど、見てみたという感じ。
「最後は一人ぼっちなんだ」というこの孤独感の描き方は普遍性がある。
このあたりは、映画というか、物語を見せようという志向が強い。
シティ・オブ・ゴッドとかスカーフェイスとかスコセッシのグッド・フェローズとか「ギャングが成り上がった後滅びて行く」というほとんど同じような話だけど、演出に差が出てくる。
同じ噺を違う落語家でやるようなもので。
自分は、上記のギャングもので言えば、スカーフェイスが好きだった。
ブライアン・デ・パルマのカメラワークが好き。
俯瞰から、ぐーっと寄って行ったり。
オールド・ボーイは、日本の漫画原作らしいが、映画的な演出もちゃんとついていて、カンヌでグランプリとったのも納得。
主人公のチェ・ミンシク扮するオ・デスが監禁小屋に入って、チンピラと戦う長回しのシーンとか見応えあった。
あと、最後の雪のシーンとかね。
個人的な好みを言えば、役者の演技は、いかにもヒステリックというか「迫真の演技です」という感じよりも、オールド・ボーイのチェ・ミンシクみたいな抑制が効いているけど、伝わってくるような演技のほうが好きだ。
冷たい熱帯魚も秋刀魚の味もある意味家族がテーマだけど、秋刀魚の味の笠智衆演じる父親は、娘から尊敬されているし、娘が嫁に行き遅れそうになると自分を犠牲にするくらい洗練されている。
それに対して、最近の映画である冷たい熱帯魚に出てくる父親像は、弱い父親像も強い父親像も両方出てくるけど、両方共悪いものとして描かれている。
昔の父性がより家族を抑圧していた時代のほうが、笠智衆演じる父のような洗練された父性を描けているというのはなんだろう…?
いろいろ映画をみて、ちょっといい映画はあるけど、本当にいい映画は少ないと思った。
もののけ姫とか黄金みたいな映画。